今日の論文2021.1.7
自分も医者の端くれなので毎日是勉強な訳ですが、折角なので論文のセルフ抄読会をしたらいいかなと思います。整形外科医、リウマチ科医なので、整形外科関連とリウマチ疾患関連が主になります。ニュースレターなどから送ってきたもののなかから、これはとおもうものだけピックアップします。
今日の論文は、Hegde V., et al. Tourniquet use improves cement penetration and reduces radiolucent line progression at 5 years after total knee arthroplasty. J. Arthroplasty 2021 です。変形性膝関節症が重症化すると人工関節置換術を行う訳ですが、しばらく前からタニケット(空気止血帯)の使用がよくないと言われることが多くなってきています。自分も何となくそうかもしれないなと思いつつも、手術中の煩雑さを考えた時に使っています。この論文は「タニケットを使った方がいい」という自分のような古い先生方を安心させる結論です。
内容:人工膝関節置換術(TKA)手術において、空気止血帯(タニケット)使用が、骨セメントの浸透およびエックス線像上におけるRadiolucent Line (RLL)の進行に及ぼす影響を調べたものです。経過観察期間は5年間以上。単一の外科医、インプラント、骨セメントで一時性変形性膝関節症に対してTKAを受けた患者を対象にしています。年齢、性別、BMI、経過観察期間を対照群とそろえています。観察項目は、術後6週間目の骨セメントの浸透とRLL、および術後1、2、5年時点のRLLを調査しています。RLLは、Knee Society Radiographic Evaluation Systemを用いています。結果、セメント使用群で骨セメントの浸透がよく、RLLの進行を減少させました。セメント固定操作中の術野乾燥により初期固定がよくなり、結果として長期の無菌性の弛みを予防する可能性があります。
よかった!これで大手を振ってTKAでタニケットが使用出来ますね。先生方も若い先生に「先生まだタニケット使ってるんですか??大学ではウンタラ」と煽られたこの論文を盾に使って下さい。